目次
あまりにも簡単すぎるチャレンジ1年生に対してフツフツと湧き上がる疑問
3月半ばに届いたチャレンジ1年生。(うちはタブレットコースの「チャレンジタッチ」ではなく、紙のチャレンジを選びました)
小学生に上がる前から少しずつ進めていくのですが・・・
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コロナ禍による休校早々に考えたこと「ベネッセのチャレンジって簡単すぎない?」
2020年春、楽しかった6年間の保育園生活を終え、娘は小学生になりました。 しかし小学校入学早々に、コロナ禍によって休校となり、入学式を終えた翌日からいきなり家庭で過ごすことに。 おとうつい先日まで保 ...
チャレンジ1年生のあまりにも簡単すぎるワークに取りかかる娘。
ほとんど「作業」感覚でサクサクと終わってしまいます。
ワークと連動してモチベUPを助けるサブ端末の「チャレンジスタートナビ」でQRコードを読み取り、「スピカ」なるキャラクターを育てるという仕掛け。
終わったページにはシールを貼って。
すべてのワークが終わったら赤ペン先生。これまた超簡単。
赤ペン先生を提出してポイントを集めたらプレゼントがもらえるのは昔と変わらないですね。コロナの影響により通常よりも提出期限が延長されています。
学習が進むにつれ少しずつ機能が開放されていく「チャレンジスタートナビ」の中のミニゲームで遊ぶ娘。
そのミニゲームも何のひねりもなく、大して頭も使わず、このミニゲームは使えなくしてほしいぐらい。
学びの薄い「作業」感覚のワークに、しょうもないミニゲームで延々遊べてしまう子供だましの端末。
これを続けることに、いったい何の意味があるのでしょうか?
これを続けて、娘本人に対していったいどういう効果があるのでしょうか?
入学早々のコロナ禍による休校中の過ごし方
4月初旬に小学校の入学式を終えて、すぐに休校になりました。
学校の時間割と同じ時間に、古いスマホにインストールしたアプリでチャイムを鳴らし、1日4コマいろいろカリキュラムを考えます。
算数の教科書の先取りをしたり、そろタッチをしたり、国語の教科書を音読したり。娘的には、文章がスカスカで絵だらけの国語よりも、生活や道徳の教科書の方が読みごたえがあって面白かったようです。休校期間中にパラパラ見ているうちに読破してしまいました。
「ちびむすドリル」で漢字をやったり、学校の「しょしゃ」の教科書の上にコピー用紙を乗せて書き写しさせたり、NHKキッズやNHK for schoolの図工番組にヒントを得て工作したり(娘はもともと工作大好き)。
英語についても、チャレンジ受講生が利用できる「チャレンジイングリッシュ」でiPad相手に発声やったりクイズやったり。
体育や音楽と称してYouTubeで「ジンギスカン」の動画を流して一緒にダンスの真似をしたり。
そのような毎日の「うちんち学校」のネタの中にチャレンジのワークも取り込み、コマを埋めていったわけです。
お昼を食べた後は公園に繰り出し、体のなまっている保育園時代のお友達と一緒に遊ぶ時間。
保育園に通っていたころは、毎日お友達と保育園の園庭を所狭しと走り回る日々だったのに、エネルギーが余りがちです。
そろタッチによるたしかな学習成果(Learning Outcomes)とは?
そろタッチを始めたのは、保育園の年長さんの終盤、2月初旬のことです。
初めて間もない頃は運指がうまく行かず、挫折寸前まで追い込まれました。公式サポートに連絡して、ミッションを簡単な地点まで巻き戻してもらったりもしました。
3月からは朝起きたらまずそろタッチをやるという方向に仕向け、「早起きランキング」にもたびたび登場。
4月からの休校期間中も、そろタッチについては、必ず1日1ミッション以上やらせるようにしました。
休校期間中もモチベーション高く取り組むことができ、4~6月の休校期間中にそろタッチをお休みしたのはわずか2日だけ。
小学校に入る直前の3月頃に、娘に足し算の問題を出してみたところ、当時はまだ両手両足を総動員して指の本数を数えて答えていました。
それが8月時点では、公文ドリル算数の2年生の「2桁同士の足し算・引き算(繰り上がり・繰り下がりあり)」を、筆算を使わずに解けるようになっています。
朝の登校の際、通学路を一緒に途中まで歩きながら「32たす49は?」とか「25たす18は?」などと問題を出すと、娘は暗算をして「81!」とか「43!」などと答えてくれます。
入学してから8月時点までの間に、いちばん能力の伸び幅が大きかったのが、そろタッチで身に付いた計算能力でした。
このように「出来なかったことが出来るようになった」とか、「ある能力が実際に伸びること」をLearning Outcomes(LO:学習成果)と呼びます。
「やる気が出た」とか「自信がついた」は、「やる気を引き出すこと自体を目的とするサービス(自己啓発セミナーや自己啓発本など)」や「自信をつけること自体を目的とするサービス(自己啓発セミナーや自己啓発本など)」にとってはLearning Outcomesたりえますが、学習塾やドリルにおけるLearning Outcomesとは、あくまで「成績がよくなること」「能力が伸びること」それ自体であり、「やる気や自信」ではありません。
「とっつきやすく親しみやすい教材」「わくわくして話が面白い先生の授業」などというのも同じです。
「とっつきやすさ」「親しみやすさ」「わくわくする」「話が面白い」はLearning Experienceを向上させるものではありますが、Learning Outcomesを保証してくれるわけではありません。
「やる気や自信」だけがあって肝心の成績がついて来ないようでは意味がありませんし、「とっつきやすさ・親しみやすさ・わくわくする感じ・話の面白さ」があっても、やはり重要なのは成績が向上したかどうかということです。
今のところ、そろタッチで得られた娘のLOとは、「2桁どうしの足し算・引き算が暗算で出来るようになった」ことですが、この程度であれば、そろタッチをやらない一般人でも達成できます。
この先どこまで暗算能力が伸びるのが、いかなるLearning Outcomesが得られるのか、もっと先を見てみたいです。
そろタッチを続けるだけで得られるLearning Outcomesとは?
少しずつでもいいから何かをスモールステップ形式で「毎日」続けることの重要性は、すでにいろいろな人が説いているのでここでは繰り返しません。
公文、そろばん、ピアノ、語学・・・いろいろな取り組みのほとんどは「毎日の積み重ね」によって能力が向上します。
そして、そろタッチ創業者の山内千佳先生の著書によると、そろタッチのスモールステップ方式は既存のそろばん教室のカリキュラムも参考にしているそうです。
公文もまた、スモールステップ形式で計算能力を高めるために確立された体系です。ちなみにそろタッチの説明会では、そろタッチを2年ほどで卒業した後に公文を始めると、爆発的な効果が得られるそうです。
そろタッチがすぐれているのは「続けることができた=いつか必ずクリアできる=クリアはすなわち着実に"異能"へと近づいていることを意味する」という等式が成り立つところです。
そろタッチは、1サイクル(1ステージ)あたり約50問の問題からなる「ミッション」によって構成されています。
制限時間内に一定以上の正答率でクリアしないと、先のミッションには進めない仕組みです。
一定以上の正答率ですべてのミッションをクリアすると、晴れてステージクリアとなり、もう少し難度の高い計算に挑戦するという繰り返しです。
つまり・・・
- クリアできる=暗算能力が上がっている
- クリアできない=暗算能力が上がっていない
という等式が成り立つということです。
「クリアできている」「けれど暗算能力は上がっていない」
ということがまず起こりません。
公文では、子供ごとのキャラクターや理解度を把握した上で、課題の進捗をコントロールするのは教室の先生が行います。そろタッチでは、子供の正解率や誤答パターンを踏まえて、アプリが裏で自動調整してくれます。
その結果、計算能力が初歩的なものから順に、下から隙間なく積み上げられていき、「本当に暗算能力が上がっていく」ことを目の当たりにすることになります。
難しくなる一方ではなく、ミッションの中には、前に取り組んだ少し簡単な課題の復習的な問題も紛れ込まされており、「忘却→復習」というサイクルにも配慮されています。
このように「楽しく取り組める」「やる気が出る」「とっつきやすい」「親しみやすい」というあいまいな果実ではなく、「本当に成績や能力が向上すること」が、Learning Outcomesです。
目先とっつきやすい学習体験(Learning Experience)の罠
ベネッセのチャレンジはLearning Outcomesを高めるか?
そろタッチとは対照的に、おそろしく簡単なベネッセのチャレンジ1年生はどうでしょうか。
たしかに、ベネッセが宣伝するように、子供を毎日机に向かわせるためのいろいろな趣向が凝らされています。
- 教材のカラフルなビジュアル
- テキストのあちこちで躍動するキャラクター「コラショ」と「キッズ」
- やったよシール
- サブ端末「チャレンジスタートナビ」
- 添削問題を提出すればもらえるポイントと景品
勉強からいかにも勉強っぽいニオイを取りはらい、「親しみやすく&とっつきやすく」することで、学習のハードルを下げようとしています。
カリキュラムの中身はさておき、モチベーション維持の仕掛けに並々ならぬ労力を割いていることがうかがえます。
ベネッセに限らず、その場での体験の質(UX:User Experience)を高めることで、サービス等の価値を高めようとする試みはいろいろなサービスに見られます。
例を挙げてみましょう。
- スポーツジムのインストラクターのさわやかな接客(結果にコミットするとは言っていません)
- 巧みな話術の接骨院の先生(行くのが楽しみになるけれど施術効果とは別物です)
- 求職者への傾聴コミュニケーションに長けた人材会社(いい転職先が見つかるとはかぎりません)
- マンションの展示場の説明会の接客力(マンションの価値や品質とは別物です)
- タブレット学習システム(紙で勉強するより成績が向上するとは言っていません)
家庭学習の話に戻ります。
教育・学習におけるUXを、特にLearning Experience(LX:学習体験)と呼びます。
ベネッセのように勉強にとっつきやすくするための仕掛けは、あくまでLearning Experienceを高めるためのものです。
LXがすぐれているからといって、Learning Outcomesまで伸びるわけではありません。
そもそも学校の教科書をさらにバラバラに1日ごとに分割しただけの簡単なワークで、一体どの程度のLOが得られるというのでしょうか。
ベネッセのチャレンジは、あくまでLXを向上させるためと割り切って利用するものです。これで成績の向上まで期待するべきではありません。
ただし現実問題として、自分から机に向かうきっかけがなければ、どんなLearning Outcomesの上積みも不可能であるというのも事実です。
まずLXを向上させて、その土台の上にLOの楼閣を築く必要はあります。(元々の気質がストイックな子であれば、ベネッセのようなビジュアルたっぷりのLXである必要はないでしょう)
LXをあるレベルまで引き上げるためのツールとして、ベネッセのチャレンジのようにとっつきやすく、誰でも簡単に取り組めるワークを利用するのは、一つの方策ではあります。
最もハードルが低く、最も間口の広いLX向上サービスが、ベネッセの「チャレンジ」なのだろうと思います。
ベネッセのチャレンジと教科書ワーク各社の金額差は大きい
学校の教科書レベルの(LXではなく)LOを向上させるためなら、各社が買い切り教材として出版している「教科書ワーク」という選択肢が浮上してきます。
ベネッセのように毎月3,000円(月々払いだと小1で3,680円)も取られることなく、1教科上下巻各1,600円程度の買い切り教材で教科書をカバーできます。
チャレンジは、通学する小学校で採択された教科書に準拠したワーク(算数・国語の2教科と体験学習的なもの)、英語のオンライン教材チャレンジイングリッシュの利用権、読み物や特典各種が送られてきます。
気になるお値段は、1年分前払いで35,760円です。※2020年度、小学1年生の場合
一括払いではなく、毎月払いなら月々3,680円かかります。(1年間続けると44,160円)
それに対し、教科書ワークなら、算数・国語の2教科上下巻で計4冊を買い切りで、6,000円台に収まります。チャレンジ1年分との差額は約3万円。
ただし、チャレンジのように子供心をくすぐるような仕掛けは特にないので、その部分をどう見るかです。
「とりあえずベネッセ」「なんとなくチャレンジ」を始めるのではなく、(LOではなく)LXの向上に対して本当にその差額分を払う価値があるかどうかは、一度検討してみてもいいのではないでしょうか。
ベネッセに限らず、市販のドリルや教育サービスを利用する際・・・
向上させたいのはLearning Experienceだけでよいのか、それとも肝心のLearning Outcomesなのかを区別しないと、事業者の「月謝の肥やし」になってしまったり、それ以上に貴重な時間をムダにしてしまうことになります。
- Learning Experience(LX:学習体験)とLearning Outcomes(LO:学習成果)のちがいを明確に意識するのは大事
- LXは向上するけれどLOが向上しないサービスを利用すると、お金と時間の無駄づかいになるリスクがある
まとめ
しばらく娘の様子を見ていましたが、小1の6月号をもって、ベネッセはすべて解約しました。
4月号のワークはコンプリート。5月号は半分くらい手付かず。6月号は全然やらず。
努力賞ポイントを貯めて景品が欲しいので、赤ペン先生だけは提出しました。
ベネッセが簡単だからといって、難しいドリルなら喜んでやるかというと、そう簡単にはいかないのが難しいですが…。
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目次1 チャレンジ1年生は簡単すぎるので6月号を最後に終了することに2 チャレンジ1年生でLearning Outcomesが伸びるわけではない!?3 簡単すぎるチャレンジ1年生はどうやって使うべきか ...
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